90歳ヒアリング トキの架け橋【長崎県 福田ミヱさん 91歳】

「90歳ヒアリング トキの架け橋」
〜生かされて生きる女性のことば〜

あの時 あの場所で……
あなたが誰かに伝えたかったことがあるように
それは いつか
誰かの 聞いておきたかったことに なるのかもしれません
(私たちは)人生の先輩の生のお声を、未来へ届けていきます

福田ミヱさん

年齢:91歳
お住まい:長崎県東彼杵郡波佐見町

2023年4月、400年以上の伝統を誇る陶磁器の「波佐見焼」の産地である、長崎県の波佐見町にお住いの福田ミヱさんとお話をしてきました。

対談の一部をご紹介します。(対談の順序を調整し言葉は標準語に訳したものをご紹介しています)

農業と波佐見焼と子育て

子育ては助け合って

3人のお子さまを育てながら、どのように農作業をされていましたか?

ござを敷いて、そのうえで遊ばせながら作業していました。
泣いたら背負いながら作業をしていました。

子どものお風呂は、お父さん(夫)が入れていました。毎日入れてくれた。

夫婦で役割分担しながら、子育てをされていたのですね。

波佐見焼の作業をされている時、お子さんはどうされていましたか?
傍であそんでいて、陶器は大丈夫でしたか?
預け先などありましたか?

近くのお寺の住職さんが、町の子どもたちを預かってくれた。
家まで迎えに来てくれて、連れて行ってくれるのです。だから作業ができました。

夫婦でいろいろなことを唯一話しながらできるひと時でした。
お寺の住職さんにお礼も渡していました。

今の保育園と同じですね~

一緒に住んでいた義母や義姉もいましたが、それぞれに家事で役割がありました。

ご近所さん、つながり

今回、一緒にお話してくれているお友達のアキノさんのように、友達と話したり遊んだりする時間はありましたか?

ずーっと働いていたから、全然あそんだり(あそびで)おしゃべりすることもできなかった。
でも、田んぼや畑で獲れたものを、出し合って、交換をするときに「今回のはよくできてるね」とか、「大きいのできたね。」など、お互いの持ってきたものを見合いながら、評価して話していた。
それが楽しかった。

買い物はほとんどせず、あるものを使い、食べて、近所の人と分け合い、交換していました。

取材を通じて

長崎県の波佐見町は、お住いの家と隣接して工場があり、窯で焼いた陶器づくりが盛んな町でした。

福田さんに会いに、波佐見町の街並みを歩きながら、橋の一部や路側帯の一部に陶器が埋め込まれていたり、民家の中に陶器屋さんがあったり…

窯のある町工場は煉瓦の煙突があり、高台から見渡した町の風景は、絵に描いたような美しいものでした。

福田さんに、農家をされながら、夫婦、ご家族、ご近所さんと助け合い子育てをされてきたお話や、波佐見町ならではの副業のお話もお聞きすることができました。

取材の様子を動画でご覧ください。

柱の前のバランスボールはミヱさんがいつもお座りになっている場所。
お話を伺うときに、座ってお待ちいただいていました。
波佐見の町が見渡せる、気持ちの良い場所でした。

90歳ヒアリングプロジェクト
株式会社アカデミーシェアリングでは、東京都市大学の教材づくりの一部に、携わらせていただけることになりました。 監修は東京都市大学環境学部 古川柳蔵教授です。
古川教授は、これまで全国で600名以上のご高齢者のヒアリングを実施され、地球資源を利用した生活をされてきた方々のお話から、「44の失われつつある暮らしの価値」を示されました。
著書『90歳ヒアリングのすすめ- 日本人が大切にしたい暮らしの知恵をシェア しよう 』
古川柳蔵・佐藤哲著:日経BP社

今年度は、これまで古川教授が実施されてきたインタビューに続き、弊社が女性にフォーカスし、インタビューさせていただきます。
※取材・対談の全てのお声を文字に起こし、そのままのお声と内容を、音声テキスト/文章化し、教材として東京都市大学に提出しています。
※OBCラジオ大阪で「90歳ヒアリング トキの架け橋」の特別番組を予定しています。
放送日が決まりましたら、弊社の専用SNSやこちらのオフィシャルブログでもご案内いたします。